脂漏性皮膚炎とは頭皮などにフケのようなものがポロポロおちてきたり、こびりついたりする亜急性、慢性の炎症性皮膚病です。
頭皮の他に、鼻や頬、耳の中や後ろなど皮脂の分泌が活発な部位に出現し、胸部や腋(わき)、背中、陰股部にできることもあります。
痒みを伴う場合と伴わない場合があります。
症状も脂っぽい湿潤性の皮膚状態になることもあれば、黄褐色のうすいかさぶたができるタイプ、また頭皮のフケのようなものができるタイプなどがあります。また、これらが複合していることもあります。
女性よりは男性に多く、生後から6か月までの新生児や乳児の時期と、思春期以降40歳くらいまでの2つの時期に発症のピークがあります。
乳児の場合は、前頭部に黄色っぽい厚いかさぶたができたり、顔に赤いブツブツが出ることもあります。
痒がることが多く、体全体に拡大することもありますが、多くの場合6か月くらいまでには自然に治ります。
1~2歳くらいになっても症状が続く場合は、アトピー性皮膚炎も疑われます。
思春期以降の脂漏性皮膚炎では、脂っぽい厚いかさぶたが見られることが多く、髪の毛の生え際、腋(わき)の下、乳房の下、ときには外陰部などに発症します。
脂漏性皮膚炎の原因
はっきりとした原因はわかっていませんが、マラセチア菌というカビの一種が関与していることがわかっています。また、遺伝的素因の他、以下のような要因も影響していると考えられています。
食事
甘い物や脂っぽい食品は皮脂の分泌を増やしますし、ビタミンBなどの栄養素が不足すると発症しやすくなります。
疲労
心身の疲れから抵抗力が落ちていると発症しやすくなります。
内分泌異常
男性ホルモンには皮脂の分泌を促進する作用があり、過剰な男性ホルモンは脂漏性皮膚炎の発症や悪化に影響します。
ストレスや睡眠不足
交感神経優位な状態が続くと皮脂の分泌が増えます。
洗顔・入浴
洗顔や入浴が不足すると皮脂がたまりやすくなります。
脂漏性皮膚炎に対する漢方的アプローチ
脂漏性皮膚炎は、漢方では「白屑風・面游風」と呼ばれる疾患にあたります。
脂漏性皮膚炎に対して漢方では、体にこもった熱や湿を取り除く漢方薬や菌の繁殖を抑える漢方薬を使いますが、どのような漢方薬に比重を置くかなど、症状によって、調整します。
たとえば、血熱と乾燥が強い場合は、顔や頭皮に赤っぽい色斑があり、眉毛や鼻や唇の溝の部分にフケのようなものが出るのが特徴的で、このようなときは、体にこもった深部の熱を取り去り、痒みを止める漢方薬を中心に処方を考えます。
胃腸の状態を整える漢方薬を使って脂質の代謝を改善することもあります。
湿熱が強い場合は、頭皮や眉毛部に脂っぽい黄白色のかさぶたができたり、部分的にジュクジュクがあったりします。赤くなったところに部分的に黄色いかさぶたができることもあります。
このようなタイプには、湿熱をとる漢方薬を中心に熱を取る漢方薬、胃腸を整える漢方薬が補助的に使われます。
食事の影響が大きいので、甘い物や脂っぽい食事は極力控えることが大切です。
また、乳幼児の場合は、熱を取り去る漢方薬は比較的穏やかなものを用い、胃腸の状態を整えることを考えます。
また、赤ちゃんが漢方薬を服用できない場合は、お母さんに服用していただき、母乳を通して治療する方法を検討することもあります。
乳幼児の脂漏性皮膚炎の場合、お母さんの食事が赤ちゃんに直接影響しますので、お母さんへの食事指導を積極的に行います。
お母さんの便秘も、体の解毒ができていない状態ですから、赤ちゃんの皮膚にも影響します。
この他、ストレスやホルモンの状態、睡眠の質や量が皮脂の分泌や抵抗力に影響している場合は、心の緊張を取り除く漢方薬やホルモンのバランスを整える漢方薬、睡眠の質を高める漢方薬を使います。
また、痒みや炎症を取り除く漢方薬を使った漢方スプレーの作り方をご指導し、患部に使っていただくこともあります。
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