鼻からのどの奥に鼻水が流れてくることを後鼻漏(こうびろう)といいます。
健康な人でも1日に2~6リットルの鼻水が作られ、一部はのどにも降りてくるのですが、鼻水の量が増えたり、粘性のある鼻水や膿のような鼻水が喉の奥に降りてきたりすると、のどに鼻水がひっかかっているような不快感が生じるようになります。
人によっては、後鼻漏が原因で、食事や睡眠に支障が出たり、咳き込みや頭痛、口臭などを生じたりすることもあります。
また、鼻には何の異常もないのに、のどに鼻水がひっかかっている感じを訴えることがあります。
これは、後鼻漏とは分けて「後鼻漏感」と呼びます。鼻の奥のポリープや逆流性食道炎により胃酸が喉まで上がってきたことで、後鼻漏のような感じが起こることがあります。
また、口呼吸などで喉が乾燥してしまい、喉の知覚が過敏になっている場合も後鼻漏感を生じることがあります。
西洋医学的には、後鼻漏に対しては、抗生物質、消炎剤、抗アレルギー剤などが使われます。
後鼻漏と漢方
病院の薬で一時的に治っても繰り返す場合や、抗生物質などの西洋薬を長期間使えない場合などは、漢方薬も選択肢の一つです。
後鼻漏は漢方では「痰湿」が関係していると考えられます。
痰湿を取り除く漢方薬にもいろいろありますが、漢方薬を選ぶ際、鼻水の粘性が1つのポイントになります。
透明でサラサラした鼻水の場合は、身体の冷えが関係している場合が多く、小青竜湯や葛根湯加川芎辛夷などが候補になります。
一方ドロっとした粘性のある鼻水や、黄色っぽい鼻水の場合は、「熱」がこもっていると考え、辛夷清肺湯などが候補になりますし、炎症がある場合は、炎症を鎮める漢方薬や健康食品を検討します。
また、ストレスや微小血管の血流が関係していることもあり、その場合は、「気」や「血」の巡りを改善する漢方薬が効果的です。
後鼻漏感の場合は、逆流性食道炎や喉の乾燥など原因に合わせて、漢方薬を選びます。
また、「痰湿」を生み出す原因として、「脾」(消化器系)失調がある場合があります。 漢方には「脾は生痰の源」という言葉があります。
脾の機能が低下すると、消化・吸収がうまくいかなくなり、余分な水分である痰ができやすくなるという意味です。
後鼻漏の症状が出ているときは、対処療法的な漢方薬を中心に使い、症状が治まったら、根本的な原因が脾にある場合は、脾の働きを改善する漢方薬を使うことで、後鼻漏を発症にしにくい身体を作っていきます。
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