子宮内膜症とは、子宮内膜に非常に似た組織が「子宮以外の場所」にあって、増殖と剥離を繰り返す病気です。
子宮の内側から剥がれ落ちた子宮内膜組織は、生理として腟から体の外に流れ出ていきますが、子宮以外の場所で増殖した子宮内膜組織は出口がないので、その場にとどまり、やがて血塊を作ったり、他の臓器と癒着を起こしたりします。
このため、生理痛や不妊の原因にもなります。
「子宮以外の場所」とは、具体的には、卵巣や腹腔の他、胃腸、肺、上肢、肝臓、腎臓・・・など、体内のいたる箇所で、子宮内膜に似た組織ができてしまうことがあります。
これらは、皮下出血、血痰、内出血などの症状を起こしますが、 婦人科系の対象となるのは、 主に以下の3か所です。
①卵巣
②腹膜
③ダグラス窩
この中で、①の卵巣にできたものを、特に、チョコレート嚢腫と呼びます。
子宮内膜に似た組織の嚢胞が卵胞を圧迫し、卵胞の発育を阻害します。
③のダグラス窩は、あまり聞きなれない名前かもしれませんが、腹腔の一番低いところにあり、結腸や直腸のすぐ近くに位置するため、癒着を起こしやすく、 癒着を起こすと排便痛や性交痛を伴うことがあります。
卵巣とダグラス窩にできた子宮内膜症は、超音波などで検査できますが、 腹膜に発症した内膜症は腹腔鏡を使わないと確認できません。
また、腹膜の子宮内膜症は痛みを伴わないことが多いので、発見しにくいという面もあります。
ダグラス窩にできた内膜症は、強い痛みを伴うことが多い傾向があります。
尚、子宮筋層にできた子宮内膜については「子宮腺筋症」と呼び、子宮内膜症とは区別されることもあります。
子宮内膜症と不妊
子宮内膜症があると なぜ妊娠しにくくなるのでしょうか。
卵巣や卵管采の癒着
子宮内膜症は、骨盤内に慢性的な炎症が生じている状態で、これが、骨盤内の様々な臓器の癒着を引き起こすことがあります。
卵巣が癒着していると排卵しにくくなり、卵管や卵管采が癒着していると、卵管は自由に動けなくなり、卵子のピックアップが阻害されます。
子宮の変形
子宮は、胃腸と同じように、常に動いています。
たとえば、精子が遡上するときは、精子の動きを助けるように動き、卵子が着床するときは、着床しやすいように動きます。
しかし、内膜症があると、子宮が変形し、このような動きがスムーズにできなくなります。
内分泌異常
チョコレート嚢腫の場合、卵胞の発育が阻害されるため、ホルモンのバランスが崩れ、黄体化未破裂卵胞症候群(LUF)などの原因になります。
免疫異常
子宮内膜症は、一種の慢性的な炎症状態であるといえます。慢性的な炎症は、サイトカインなどを活発化させ、体の免疫の異常をひきおこし、精子や卵子、内膜を攻撃したりし始めます。
子宮内膜症と漢方
子宮内膜症は一種の炎症ですから、多くの場合、生理周期に関係なく、炎症を鎮め、サイトカインの働きを抑制する漢方薬を使います。
また漢方では、子宮内膜症の原因となる体質として、腎陽虚がある場合が多く、これに、瘀血(おけつ)、寒湿または湿熱が加わっていると考えます。やや難しい言葉を並べてしまいましたが、簡単に言うと、
生殖パワーが落ちている
体を温める力が落ちている
血流が悪くなっている
冷えが原因で、体内の水分や血液の代謝や流れが悪くなっている
体内にこもってしまった余分な水分が、不必要な熱を持っている
ということになります。
勿論、これらすべてがあてはまるわけでなく、人によって、この中のいくつかが顕著に見られます。
同じ子宮内膜症でも、人によって原因は異なりますので、そのあたりを見極めて漢方薬を選びます。
イライラしやすくて、生理に塊があり、生理前後に微熱があったり、生理になっても基礎体温が下がらない場合は、気血の巡りを良くする漢方薬を使います。
また、これらの漢方薬の他に、炎症を抑える効果がある漢方薬を併用することもあります。
対応方法は、個人によって異なりますので、直接ご相談ください。
なお、西洋医学では、ホルモン剤を長期間投与することにより、仮閉経の状態を作ったり、手術で患部を焼灼するなどの治療法がとられますが、薬の投与を中止すると再発したり、焼灼した部分の卵胞発育が低下するなどといった影響が少なくありません。
このような場合も、西洋治療と漢方を併用することをお薦めします。
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子宮内膜症の原因となる体質を改善する漢方薬の一例
ご紹介している漢方薬は一例です。ご体調・体質によって、他の漢方薬をお薦めする場合もございます。
また、漢方薬のパッケージは予告なしに変更される事がございます。
つらい体の不調やお悩みは一人で悩まず、まずはお気軽に泰山堂へご相談ください。