生理周期の14目くらいになると(生理が始まった日を1として14日目)、卵胞が20~22㎜程度まで成長し、卵巣の表面まで押し出されてきて、中の卵子が勢いよく飛び出します。これが排卵です。
排卵には、通常は、痛みは伴わないものですが、中には、チクリとした軽い痛みや張るような痛みを感じる場合もあります。
ちょっとした違和感程度なら問題ありませんが、日常生活に支障が出るような痛みになる場合もあり、これは放っておくべきではありません。
排卵痛の原因は西洋医学的には、諸説ありますが、
- 卵胞が破裂する際に痛みを生じる
- 排卵した際に、卵巣に傷がつくため痛みを生じる
と考えられています。
重症な場合、子宮内膜症や卵巣嚢腫、多嚢胞性症候群(PCOS)などにより、排卵しにくい状況になっていることが、痛みの原因になっていることもあります。
西洋医学的な治療方法としてはピルにより排卵を止める方法が一般的ですが、妊娠を希望している方には、本末転倒の治療法となってしまいます。
また、妊娠を希望していない場合でも、薬で排卵を止めるということは、あくまでも対処療法であり、痛みの原因そのものを治していることにはなりません。
排卵痛に対する漢方的アプローチ
漢方的には、排卵の時期は、陰から陽への大きな転換のタイミングで、この転換がスムーズに行われないのは、気(き)・血(けつ)・水(すい)の巡りが悪く滞っていることが、背景にあると考えます。
漢方には、「通じされば即ち(すなわち)痛む」という考え方があり、「気や血がうまく巡っていないと痛みが起こる」という意味です。
巡りの悪化には、いくつかのタイプがあり、それに合わせて対応を考えて、排卵痛を軽減、あるいはなくしていきます。
気滞(きたい)
気(エネルギー)の巡りが悪い状態です。気滞の主な原因は、簡単に言うとストレスです。
ストレスがうまく発散できない状態が続いている
性格的にイライラしやすい、気が短い
生理前に胸が強く張る、イライラが悪化する、便秘しやすくなる、など、体調が悪化しやすい
お腹にガスが溜まりやすい
などの傾向がある人は、気滞になりやすい体質だと考えて良いでしょう。
瘀血(おけつ)
「血」の巡りが悪い状態で、
慢性的な肩こりや頭痛がある
生理の血に塊がある
目の下にクマができやすい
あざができやすく、消えにくい
などは、瘀血体質の特徴です。
この場合、血液の流れを改善する漢方薬(活血薬)を、体質に合わせて使いますが、単にそれだけでは解決しない場合もあります。それは、瘀血の原因となっているものから改善する必要があるからです。
漢方的には「気」が「血」を動かすという考えがあります。
このため気滞(気の滞り)があると、血も滞りやすくなります。
この場合は、先にご紹介した理気薬(気の巡りを改善する漢方薬)と活血薬(血の巡りを改善する漢方薬)を併用するとうまくいきます。
血虚・腎虚(けっきょ・じんきょ)
また、血が足りない「血虚」の状態も、瘀血の原因になります。
川の水がサラサラ流れるためには、一定の水量が必要です。
川の水が少なければ、水が流れないように、血液も十分な量がなければ、サラサラと流れません。
このようなタイプは、血液を補う漢方薬(補血薬)によって、血液の流れを改善することで、排卵痛を軽減することができます。
気滞や瘀血の他にも、生殖力そのものの減退(腎虚)や気(エネルギー)の不足によって、排卵しにくい体質になっている場合もあります。
その場合は、腎や気を補う漢方薬が、効果的です。
このように、ピルによって排卵をとめてしまう西洋医学とは異なり、漢方では、排卵痛の原因をつきとめることを重視し、それに合わせた漢方薬を選ぶことで、一人一人の排卵痛に合わせた対応を行います。
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