座骨神経痛とは病名ではなく、お尻から下肢にかけて痛みやしびれが続く症状の総称です。
座骨神経は、お尻から足へ向かう末梢神経一つで、鉛筆ほどの太さがあり、腰から足先まで約1mの長さがあります。
下肢の筋肉を動かしたり下肢の痛みや温度などの感覚を脳に伝えたりする働きがあります。
この座骨神経が何らかの理由で圧迫されることで、お尻から下肢にかけて、ピリピリ・チクチク・ズキズキなどの痛みが出る他、長時間立っていられない、腰をそらすと痛みが走る、あるいは逆に前かがみになると痛みが酷くなる、などの症状が出ます。
坐骨神経が圧迫される原因は様々ですが、多いのは腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどによる痛みです。
座骨神経痛と漢方
漢方では痛みの根本原因を考えるとき、「不通則痛(ふつうそくつう:通じざれば、すなわち痛む)」「不栄則痛(ふえいそくつう:栄えざればすなわち痛む)」という原則がベースとしてあります。
不通則痛(ふつうそくつう)は、気・血・津液(水)の流れが滞り、詰まってしまったところに痛みが生じている状態です。
中でも血の巡りが悪い状態を瘀血(おけつ)と呼びます。瘀血には、冠元顆粒や田七人参、水快宝などを使います。
また、冷えや湿気によっても、血や水が停滞し、経絡の巡りが良くない状態になり、痛みを起こすことがあります。この場合は、疎経活血湯や独歩顆粒が効果的です。
加齢による筋肉や骨の老化がある場合は、亀甲(きっこう)や鼈甲(べっこう)、食用蟻など老化予防に効果的な生薬を配合した漢方薬や健康食品を併用するとさらに効果的です。(亀鹿仙、イーパオ)
一方、不栄則痛(ふえいそくつう)とは、気・血・津液が不足して、組織に十分に栄養が行きわたらなくなり、その部分が正常に働かなくなって、痛みやしびれが生じる状態です。
この場合、婦宝当帰膠や十全大補湯など、気血を補う漢方薬が候補になります。
座骨神経痛と生活養生
座骨神経痛の予防には筋肉アップと同時に、腰に負担がかからない姿勢を心がけることも大切です。
そのためには、椅子の高さや靴のサイズ、ヒールの高さなどに気を配り、自分の体に合ったものを選ぶようにしましょう。
また、たばこに含まれるニコチンは、血管を収縮させ血流を悪化させることがわかっていますので、禁煙しましょう。
たんぱく質やミネラルを十分に摂取するようことも大切です。
また食べ物に気を付けていても、胃腸が弱っていると、栄養の吸収が低下しますので、下痢や便秘、胃もたれなどがある場合は、胃腸の不調を改善することも、長期的には、坐骨神経痛の予防や改善につながります。
この他、寒い季節や夏のエアコンなど、腰部を冷やさないように注意することも大切です。
つらい体の不調やお悩みは一人で悩まず、まずはお気軽に泰山堂へご相談ください。