咳は、急性期の咳、慢性化した咳、外因の咳(ウイルスや菌、埃や花粉、気温の変化など外的な要因による咳)、内因の咳(老化やストレスなど内的な要因による咳)など様々な咳があり、原因や対応を判断するのが難しい症状の一つでもあります。
急性期の咳
咳が出始めて時間がたっておらず、風邪やインフルエンザに代表されるようなウイルスや菌などが原因になっています。
寒気が強く発熱がある場合は、葛根湯や麻黄湯が候補になります。サラサラした鼻水や痰を伴う場合は小青竜湯を使います。
一方、喉の痛みや熱感がある場合は、炎症があると考え、金銀花、連翹、蒲公英、龍葵などを含む漢方薬や健康食品を使います。
金銀花は清熱解毒の代表的な生薬で、熱毒による炎症、化膿、疼痛などによく使われます。
疏散風熱作用といって、風邪などの邪気が体内に侵入してきた直後に使うと邪気を払いのける作用があり、風邪などの初期症状に効果的です。
また、ウイルス感染が疑われる場合は、板藍根などが役立ちます。
咳が激しく、喉が渇いて汗がでるような場合は、石膏を使った漢方薬が効果的です。
石膏は清熱瀉火薬に属する生薬で、熱の症状が非常に強いときに用いられます。
また津液(からだに必要な水分)を補う働きもあるため、高熱や激しい咳で喉の渇きを感じるような状態に用います。
慢性化した咳
漢方薬局に相談に来られるお客様の中では、長引く咳でお困りの方が圧倒的に多いと言えるでしょう。
咳が慢性化しているときは、痰の状態を見ることが大切です。
黄色い痰
黄色い痰が出て比較的激しい咳の場合は、
菌やウイルスが残っていて、体がこれらを排除するために炎症を起こしている状態と考えます。
この場合、石膏を含む、麻杏止咳顆粒や桔梗石膏湯が候補になります。
石膏には肺熱を取る働きがあり、激しい咳を鎮めたいときに効果的です。
痰がとれない
ねばっこい痰がのどに絡みついてなかなか吐き出せないという状態は、漢方的には「肺陰虚」と考えます。肺系が乾燥している状態で、肺を潤すことが必要です。
この場合、清肺治喘丸、麦門冬湯、百潤露などが候補になります。
百潤露に含まれる百合(びゃくごう)は、和食などに使われる百合根のことで
中国では古くから薬用として乾燥した咳に用いられてきました。
また精神を安定する働きもあり、
西暦200年頃にかかれた医学書には
「百合病(100の病気が合わさったような複雑な病気、
神経症やイライラなど)に百合根を煎じて飲むと効果がある」
と書かれています。
同じく百潤露に含まれる北沙参(きたしゃじん)や玉竹(ぎょくちく)は、
日本でも(北沙参は浜辺に、玉竹は山に)自生している植物です。
どちらも肺を潤す働きがあり、痰が少ない慢性の咳に用いられます。
腎虚による咳
主に高齢者の方に見られる咳です。
加齢により「腎」の働きが低下すると、気を下に下げる納気の働きが弱くなり、呼吸が浅くなり、弱い咳が長期間続きます。(この場合の「腎」とは腎臓ではなく、生命力や生殖力など「生命エネルギーの源」といった意味で、特定の臓器を指すものではありません。)
咳で体力を消耗することによりさらに「腎」を傷めるという悪循環に陥っている場合もあります。
この場合は、八仙丸や亀鹿仙など「腎」の働きを強める漢方薬や健康食品が役立ちます。
その他、数は多くありませんが、自律神経の乱れや水分代謝の悪化から来る咳もあります。
原因をしっかり見極めて対応を考えることが大切で、対応を間違えるとかえって悪化する場合もありますので、お気軽にご相談ください。
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