緑内障は、何らかの原因で視神経が障害され視野が狭くなる病気で、眼圧の上昇がその病因の一つと言われています。
症状は非常にゆっくり進んで行くのが一般的です。部分的に視野の欠損(見えない部分)があっても、もう片方の目がそれをカバーしたり、目を動かしたりするため、気づきにくいことが多く、(見えない部分があることを)自覚したときは、かなり進んでいることもよくあります。
房水と眼圧
目の中には房水という液体が流れていて、シュレム管と呼ばれる場所から排出されます。
目の形状は、この房水の圧力によって保たれていて、これを眼圧と呼びます。
眼圧は季節や時間によって多少変動しますが、ほぼ一定の値を保っています。
ところがこの房水の産生がふえ過ぎたり、排出がうまくいかなかったりすると眼圧が高くなり、眼球に接している視神経に障害が起こり、次第に視野が狭くなっていきます。
緑内障の種類
緑内障には、いくつかの種類があります。
・原発解放隅角緑内障・・・房水の出口が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇することにより、病気が進行していく緑内障です。
・正常眼圧緑内障・・・眼圧が正常範囲内の緑内障です。緑内障の約7割が正常眼圧緑内障で、日本人に多いと言われています。
・原発閉塞隅角緑内障・・・房水の出口が塞がって房水の流れが妨げられ、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります。
・続発緑内障・・・外傷や目の炎症、薬剤などによる眼圧の上昇によっておこる緑内障です。
・小児緑内障・・・生まれつき隅角異常や他の要因により小児期に眼圧が上昇する緑内障です。
西洋医学的治療方法
治療法としては、薬物療法、レーザー治療、および手術が一般的です。
薬物療法では、房水の生産量を減らしたり、房水の流れを良くする薬が使われます。
レーザー治療ではレーザーを房水の出口部分にあてて、房水の排出を促進します。
手術では、房水の排出を妨げている部分を切開し、出口を作って房水の流れを良くする方法や、毛様体での房水の産生を抑える方法があります。
緑内障と漢方
漢方では緑内障は体内の水の巡りの失調と関係が深いと捉えます。房水の排泄がうまくいっていない場合は、水の巡りに問題はないか、体全体の体調を確認して、余分な水分を取り除く方法である「利水」を目的とした処方を考えます。具体的には、沢瀉、茯苓、猪苓、黄耆、白朮などの生薬を含んだ漢方薬が候補になります。
また、中医学の五行説では、目は「肝」との関係が深く、「肝」が失調すると目に影響が出ます。「肝」の失調を改善し目の働きを整える杞菊地黄丸や「肝火」を鎮める瀉火利湿顆粒などを使います。また、「肝」はストレスの影響を受けやすいため、逍遙顆粒や加味逍遙散などストレスや緊張を緩和する漢方薬が、緑内障の進行の抑制に役立つこともあります。
この他、瘀血(おけつ)と呼ばれる体質が緑内障と関係していることがあります。瘀血とは血流が悪い状態で、目をとりまく毛細血管の血流の悪化が房水や視神経の働きに影響している場合もあります。瘀血体質の可能性がないか確認して、処方を考えます。
緑内障は加齢とともに増えてくる病気です。緑内障につながりやすい体質を早めに改善しておくことは、緑内障の予防につながります。
緑内障の原因となっている体質を改善する漢方薬一例
ご紹介している漢方薬は一例です。ご体調・体質によって、他の漢方薬をお薦めする場合もございます。
また、漢方薬のパッケージは予告なしに変更される事がございます。
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