漢方草庵 泰山堂
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ダイエット

店頭で「痩せる漢方薬はありませんか」というご質問を受けることがよくあります。
残念なが「やせ薬」のような漢方薬はありません。
体重を落とすには、食事のコントロールと適度な運動は不可欠です。

しかし、
食事量も運動も気を付けているのに、なかなか痩せない
痩せたいと思っているのに、どうしても食べずにはいられない
同じ食事量なのに、以前より太りやすくなった

というケースも確かにあります。
この場合、「体質的な偏り」が原因で痩せにくい身体になっている可能性があり、これを改善するのは漢方の得意とするところです。
太りにくい身体を作ることで、リバウンドもしにくくなります。
また、体質を根本から改善しますので、ダイエット効果だけでなく、普段から気になっている不調の改善も期待できます。

「体質的な偏り」にはいくつかのタイプがありますので、代表的なものをご紹介します。

気滞タイプ

気の流れが悪いために、五臓がうまく機能せず、飲食物が体内に蓄えられてしまうタイプです。
また、いわゆる「ストレスによる過食」もこのタイプに入ります。
気が滞ることで自律神経の働きが乱れ、食欲中枢の調整がうまくいかなくなって過食になってしまっています。
気の巡りをよくする漢方薬を使って五臓の働きを整え、気持ちを安定させることで過食を防ぎ、太りにくい体質を作ります。

冷えタイプ

体温が1℃下がると基礎代謝は約12%減少すると言われています。
基礎代謝とは、体温維持、心臓や呼吸など、
人が生きていくために最低限必要なエネルギーのことです。
平たく言えば、まったく体を動かさず寝ている状態で消費されるエネルギーです。

基礎代謝による消費エネルギーは、私たちが1日に消費するエネルギーのうち、約70%を占めています。

ですから、この基礎代謝が落ちるということは、ダイエットにおいては、大きな影響があります。
漢方は、これは冷えにより「気」の働きが低下し、その結果、血や水が停滞して老廃物の排泄がうまくできずに太ると考えます。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯や五積散など、体を内側から温める漢方薬が役立ちます。
また、「冷え」には食べ物も大きく影響します。

生姜やシナモン、にんにく、長ネギ、肉類(羊の肉が一番温めるのですが、日本ではなかなか難しいですね)などが身体を温めてくれます。

水滞タイプ

冷えや胃腸の機能低下などが原因で、水の巡りが悪いために体重が増えてしまう、いわゆる水太りタイプです。
それほど食べていないのに、下半身を中心に太っています。
体を温め胃腸を元気にする漢方薬を用いて、水の巡りを改善することが大切です。
シャワーだけですまさずお風呂につかる、下半身に筋肉をつける、といったことも効果的です。

湿熱タイプ

脂っこい物や甘い物を食べ過ぎて、体内に老廃物が溜まっている状態です。
便や尿などで、老廃物を排泄させる対応が必要です。
舌にべっとりとした苔がついている方に多く見られるタイプです。

胃熱タイプ

胃に熱がこもり、暴飲暴食、過食、口臭が強くなるなどの症状があるタイプです。
食欲が旺盛で、どうしても食べずには入れられないタイプです。
このタイプは、過剰に生じた胃熱を鎮めることで食欲もおさまり、代謝機能も正常になります。

瘀血タイプ

血の巡りが悪いタイプです。血は栄養を届けるだけでなく、老廃物を運び排泄する役目も持っています。
血液の流れが悪くなると、この排泄がうまくいかなくなり、余分なものが溜まりやすくなります。
普段から頭痛や肩こり、生理痛が酷い方に、よく見られるタイプです。

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実際には、どのタイプか明確に区分できる場合は少なく、それぞれが関連しあっており、いくつかのタイプが複合していることが多いように思います。

このように「痩せにくい」原因となっている体質を見極めて漢方薬を選びます。
ここでは店頭でよく使われる漢方薬や健康食品をいくつかご紹介します。

防風通聖散

胃に熱があるために食欲が過剰で、脂肪太りになっているタイプによく使われます。
食欲が旺盛な割には排泄が伴わず、便秘がちなかたに向いています。
体内の余分な熱を除く生薬が多く含まれているため、冷え症の方、下痢気味の方には向いていません。

防己黄耆湯

いわゆる水太りタイプによく用いられる漢方薬です。
浮腫み、汗をかきやすい、下半身が重い、などの症状にも効果的です。
体内に余分な水分をためやすい体質なので、胃腸を元気にして、水の排泄を助ける処方になっています。
主薬である黄耆と白朮には、気を補い、浮腫みを取り除く働きがあります。
また生姜、大棗、甘草は胃腸の働きを高め、不要な水分が体内に停滞するのを防ぐ働きがあります。

逍遙顆粒

「逍遙(しょうよう)」とは元々は、「気ままに散歩し、自由自在に生きる」という意味で、現代風に言うと、心身ともにリラックスしている状態を指します。

逍遙顆粒は、ストレスなどにより身体の「気」の巡りが悪くなり、満腹中枢が失調し過食になってしまっている場合、また、血・水の巡りが悪化し、老廃物の排泄がうまくいかず体重が増加している場合に用います。
生理前にイライラや落ち込みが激しくなる、普段から気持ちのアップダウンが激しい、ため息が多い・・・などがある場合は「気」の巡りが悪くなっている可能性があります。

三爽茶

柳茶というバラ科の植物を主成分とした健康食品です。
チベットでは羊などの家畜がこの柳茶を食べると痩せるという民間伝承から、「痩羊草(そうようそう)」という別名もついています。
実際、この柳茶については、脂肪分解作用や中性脂肪やコレステロールなどの血中濃度を下げる作用があることが、研究発表されています。
柳茶の他に、水の代謝を高めるハスの葉やすぎな、ストレスからくる過食を防ぐシベリア人参などが含まれています。

ここにご紹介した漢方薬は、普段店頭でお薦めする漢方薬や健康食品のごく一例です。
ただし、最初に書きましたように漢方薬だけで痩せようとするのは、現実的ではありません。
運動や食事を見直すことが不可欠です。
この場合も、体質に合った運動や食事を取り入れることが大切です。
筋トレのような運動が合っているタイプもあれば、軽いウォーキングなどの方が効果的なタイプもあります。

また、食事についても、漢方では食べ物は温性、寒性、中性に分けることができると考えています。
体に熱がこもっていることが原因で太っている場合は、寒性の食品がお薦めですし、体が冷えている場合は、温性の食品を積極的に摂ることをお薦めします。

漢方相談では、そのような生活養生についてもアドバイスしていますので、お気軽にご相談ください。

つらい体の不調やお悩みは一人で悩まず、まずはお気軽に泰山堂へご相談ください。