めまいは日常生活にも影響を与えるつらい症状の一つです。
ひどいと倒れてしまうこともあり、階段や運転中などに突然症状が出ると、命に関わることもあり得ます。
めまいと一言で言っても、まわりがグルグル回る回転性めまい、ふわふわ浮いているように感じる浮動性めまい、また急に立ち上がったときに目の前が真っ暗になってクラっとする立ちくらみ様めまいなど、いろいろあります。
めまいの原因として多いのが耳の異常です。
中でも特に多いのが、良性発作性頭位めまい症と呼ばれるめまいです。
これは、内耳の前庭にある耳石がはがれて三半規管に入り込み、頭部を動かしたりすると起こるめまいです。
しばらくじっとしていると、おさまってくることがほとんどです。
この他、内耳内のリンパ液が増えすぎて、内耳がむくんだような状態になるメニエール、ウィルス感染などによって前庭神経に炎症が起きる前庭神経炎などがあります。
耳に異常がない場合、脳の異常によって生じるめまいも、まれですがあります。
「舌がもつれやすい」「ふらつく」などの症状があったり、高脂血症や高血圧、糖尿病などの基礎疾患があったりする場合は、注意が必要です。
このような場合は、まず病院で診てもらってください。
めまいと漢方
漢方では、めまいの原因となっている体質や体のバランスの乱れがどこにあるかを見極めて、対応を考えます。
体内の水分代謝に問題があるタイプ
内耳にある三半規管の中はリンパ液で満たされていて、頭や身体が動くと、このリンパ液が流れ始め、その流れの速度や方向を脳に知らせることで、身体の平衡感覚がとれるようになっています。
このため身体の水分代謝に問題があって、リンパの巡りに障害が出ると、めまいの原因となります。
水分代謝が悪化する原因の一つが「脾(胃腸系)」の機能低下です。
「脾」には、水分を吸収して全身へ送る働きがあります。
このため脾の機能が低下すると身体に必要な津液が作られず、不要な水分である痰湿が増え、体内に停滞する状態が生まれます。
もともと胃腸系の弱い人、お酒や脂っこい食事、水分の摂り過ぎなどの傾向のある人に多くみられます。
五苓散や苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、温胆湯など、水の巡りを良くしたり、痰濁を取り除いたりする漢方薬が候補になります。
気血不足タイプ
「気」や「血」が不足していて、脳に十分な栄養が届いていないために、めまいが生じてしまいます。
いわゆる「立ちくらみ」のようなめまいに多いタイプです。
気血不足になる原因としては、食事の問題、胃腸の機能低下、休養や睡眠の不足などがあります。
婦宝当帰膠、心脾顆粒、麦味参顆粒、補中益気湯など気血を補う漢方薬が適しています。
興奮しやすいタイプ
怒りっぽい、血圧が高い、目が充血しやすいなどの傾向がある場合は、「気」が過剰に上に上がり過ぎて上部に熱がこもり、めまいを起こすことがあります。
釣藤散や瀉火利湿顆粒など、「気」の過剰な上昇を抑え、こもった熱を取り除く漢方薬が候補になります。
その他、老化、血流の問題、ストレスによるめまいなどもありますので、めまいの原因となっている体質に合った漢方薬を選ぶことが大切です。
つらい体の不調やお悩みは一人で悩まず、まずはお気軽に泰山堂へご相談ください。